たくさんの合格楽譜 ピアノの学習は自宅での練習が必須となるため、必ず宿題が出ます。通常はテクニック系の教材と曲集の教材を学習しますから、それぞれ1曲づつが宿題と なります。1週間で合格できない場合もありますから、残ってしまった曲と新しい曲の組み合わせになる場合がでてきたり、残った曲があっても次の新しい 曲を宿題に出すこともあります。大抵は生徒さんに、できそうかどうかの確認をしていますから、無理な宿題が出ていることはありません(と、思って いるのですが・・・)

習い始めの低学年までの小さな生徒さんの場合も同じで、「どこまでならできる〜?」と聞くことにしています。習い始めの 場合は、同じ音の練習が多かったり、新しい事柄が次々とでてこないので、どんどん弾けてしまう場合があります。一度に5~6曲の宿題チェックがつくことも 多々あります。もちろん、宿題以上にたくさんの曲を練習してきてくれる場合もあります。学習しているテキストによっては、勝手に弾いてきてはいけないもの もありますが、生徒さんへは個別に説明をしています。特別に説明をされていないのであれば、どんどん先に進めてもらって構いません。ただ、学習が進むと、 1曲1曲が長くなったり、難しくなったりしていきますので、思うように進めていけないのが現状です。

生徒さんに確認をしてから宿題の曲数を決めて いるのですが、自宅での練習があまりに辛いものになるようであれば、無理に進めることはオススメできません。先日、あるお母様とお話をしていて、まだ 未就学児の小さな生徒さんなのですが、「泣きながらさせてしまうこともあります」と、伺いました。私もうっかりしていたと反省しているのですが、私たち ピアノ講師は、生徒さんが練習をしてきた結果をレッスン中に見せてもらっています。レッスン中に何の問題もなく5~6曲を仕上げてきてくれていたら、それこそ 問題なくスムーズに練習ができていると思います。しかし、1週間の自宅練習で例えば、毎日泣きながら辛い思いをして仕上げてきてくれたかもしれません。 5~6曲を仕上げるために、大変な思いをしたかもしれません。でも、講師側にはそれはわかりません。もし、そのような状態で練習をされているのであれば、 宿題の曲数を減らしたほうが良いです。生徒さんへ確認をした上での宿題ですが、全部弾かなきゃいけないものでもありません。特に、小学校低学年までの 小さな生徒さんの場合は、楽しく進めていくほうが先決です。保護者から見れば「たったそれだけ・・・?」と思うような宿題でも、生徒さんにとっては 必死。コツをつかめて弾けるようになれば、どんどん進めていけるようになります。「ピアノって苦しい」と思いながら練習するのは悲しすぎます。自宅練習の プロセスを今一度、確認してみましょう。

ピアノ学習も進んでいけば、当然「楽しい」だけではなくなっていきます。合唱コンクールの伴奏練習を している生徒さん、難しいレベルの曲に挑戦している生徒さん、それぞれに苦しいこと、思うように弾けないことは出てきます。でもそれは、ピアノ学習が 進んできた証。始めたばかりの生徒さんではないはず。ただ、どちらにしても、弾けるようになったときの喜びは大きいもの。一つ一つの成功体験を重ねて 上達していきます。無理をしない範囲で進めていくようにしたいですね。
バーナム こちらの楽譜の最後の小節の最後の音、この楽譜にスラーの記号はありませんが、音楽のまとまりの最後の音になっています。実際にピアノで弾いてみれば わかるのですが、スラーの最後の音や音楽のまとまりの最後の音は、やさしく弾くのが鉄則です。それは、最後の音をドスン!と弾いてしまうと、音楽が 格好悪いものになってしまいますし、何より聴いていて耳に気持ちの良いものではありません。生徒さんたちへはレッスン中にいつも「最後 の音はドスン!と弾かないよ」「尻餅をついた音楽になってるよ」と、言っています。

もう少しわかりやすく説明をすると、例えば、会話の 言葉や本読みなどで「公園に行きました。楽しかったです」と、話すとき、行きましたの「た」、楽しかったですの「です」を強調して話したりするでしょう か?言葉の最後を強調して大きな声で話したりはしませんよね?それと同じことなのです。では何故、言葉の最後を強調しないのか?やはり格好が悪いから ではないでしょうか?言葉の最後を強調してお話をすると、格好の良いものではありませんよね。音楽も一緒です。特別に最後の音に、アクセントなどの 強く弾く記号が書いてある場合は別ですが、そうでない場合は、まとまりの最後の音やフレーズの最後の音は、すっと優しく弾きましょう。

スラーは音を切らないで綺麗に弾く記号です。スラーが切れているということは、一つの音楽が終わったよ、の意味もあります。 スラーの間は音を切りませんが、スラーが終わった音では音を切るように指導しています。その時の音の 切り方も、やはり優しく切ります。スタッカートで音を切るわけではありませんから、あくまでも優しく自然に切るようにしましょう。写真の楽譜はテクニック 教材なので、スラーが書いていない楽譜になるのですが、ここまでの曲を弾くような生徒さんなら、音楽のまとまりはわかっているはず。最後の音を尻餅を ついたようにドスン!と弾いているのか、そう弾いた時に音楽が綺麗にまとまっているかどうか、自分の耳で確認をしながら弾けるようにならなければ なりません。もちろん、ドスン!と弾いていれば注意はしますが、いつまでも同じことで注意をされているようでは、注意力が足りません。もっと自分の音に 責任を持って演奏しましょう。今日からは、格好悪い音楽からは卒業です。
ff伴奏譜 こちらの楽譜、ある生徒さんの合唱コンクール伴奏譜です。曲の最後のコーダ部になるのですが、既に歌は終了していてピアノだけの部分です。そして音量は ff、盛大に演奏するところ。演奏していても気持ちがいいし、聴いていてもめちゃくちゃ格好がいい!上手に弾けたなら・・・。こういう部分は、やっぱり 男子の演奏の方が映えます。男女差別をしているわけではありませんが、迫力のある音は、体格がしっかりしている人の方が出せます。女の人よりは男の人、 同じ男の人でも、日本人よりは欧米人の方が体格はいいですよね。この伴奏譜を練習中の生徒さんは、どちらかというと華奢な女の子。 今からたくさん食べて太ってもらう?さて、どうしましょう?

体格も良くないし、華奢だし、仕方ないよね・・・。いえいえ、諦めるのは早いです。 弾き方を少し工夫して、響きのある大きな音を出せば良いのです。そのためには、指先に体重をかけて弾きます。自分の指に自分の体重をのせるのです。 大きな音を出す弾き方にもいろいろあって、手首の力で出す場合もあれば、今回のように体重をかけて弾く場合もあります。その時々の状況によって、どんな 音を出したいのかで弾き方は変わってきます。今回は曲のコーダ部分、コーダに入るまでにも大きく弾く場面があります。でも、一番盛り上がって欲しい 箇所はコーダなので、最後のコーダで力を出し切るように持っていくのがベスト。指先に体重をかけるとなると、前に傾いた弾き方になると思います。前傾 姿勢です。その場合、肩から音を出す気持ちで弾きましょう。レッスン中には、生徒さんの肩を実際に触って、意識を促すようにしています。慣れないと、腕に 力が入ったり指先が硬くなったりするのですが、あくまでも腕や手首には力を入れません。堂々と威厳を持った弾き方をしましょう。

そしてもう一つ。 座っている椅子の高さにも注目します。指先に体重がかけやすい前傾姿勢ですが、体重をかけるためには、椅子の高さは若干、高めに設定している方が体重を かけやすいです。椅子の高さは曲の途中で変えられませんし、1曲を通して全て前傾姿勢で弾くわけでもないので、安易に高く設定してしまわないで、全体を 自分に合った良い状態で演奏するためには、どの高さが良いのかを試してみるのがよいでしょう。どの生徒さんにも共通してお話をしていますが、自分の 椅子の高さがどのくらいなのか、知っておくことは大切です。小さな生徒さんは足をぶらぶらさせて弾かないで、足台を設置して床に両足をつけて弾くように しましょう。床に足がつく大きな生徒さんの中には、足を組んで弾いたりするなど、足の状態が良くない生徒さんもいらっしゃいます。椅子の高さの調整と 共に、姿勢にも気をつけてピアノに向かうようにしましょう。
どりーむ楽譜 順当に進んできているテキストの曲ですが、生徒さんによって難しく感じる曲は違うもの。ある生徒さんには簡単に感じる曲でも、別の生徒さんには難しく 感じたり。こちらが簡単だと思っていた曲でも、何故だか進みが遅かったり。その逆もあります。難しくて時間がかかるだろうなぁと思っていた曲が、すんなり 終わってしまうことも。今回、16小節ほどの短い曲ですが、1ヶ月以上も弾けなくて四苦八苦している生徒さん。どのように練習するのが良いのでしょうか?

ピアノ学習も進んでくると、割と早い段階から両手練習に入ります。最初は両手で「ああでもない、こうでもない」と、引っかかりながらの両手 練習でも、毎日の練習を積んでいる間に弾けるようになっていくもの。でもこれは、あくまでも毎日の練習ができている生徒さんです。毎日の少しづつの 積み重ねがあるから弾けるようになっていくのですが、例えば練習が2~3日おきの練習の生徒さんだったり、練習をしてから次の練習までの日が空いていたり すると、弾けていたものも弾けなくなっていきます。せっかく弾けるようになった箇所も、練習の日が空いてしまうことでまたやり直しとなることが多いです。 そんなことを繰り返していると、曲は一向に仕上がりません。短い曲でも何ヶ月もかかってしまいます。本当は毎日の練習をしてほしいのですが、こればっかり は、私も口うるさく言うだけしかできません。

曲の途中で何度も止まったり引っかかったりしながら、よたよたと両手で1曲を弾いているのであれば、 思い切って片手練習に切り替えましょう。「片手だけど完璧に弾ける」状態を目指しましょう。当然ですが両手で弾くためには、右手も左手も両方に目を配らな ければなりません。それを片手練習にするということは、片方の手だけの注意ですみますから、まだ弾きやすいはず。ここで重要なのは、「完璧な片手練習」 です。片手にしたのですから、ミスはしない、止まらないことが大事。次のレッスンまでの1週間を、片手練習に費やしてみてはいかがでしょうか?

さて、四苦八苦していた生徒さん。レッスンに来るなり「片手練習しかしなかったけれど、たくさん練習をしてきた」とのこと。聴かせてもらうと、片手での 演奏はバッチリ。一つのミスもなく弾けるようになっていました。「じゃぁ、両手でやってみようか?」と、レッスン中に両手練習へ突入。曲のレベルにも よるのですが、片手が完璧に弾けていると、両手がすぐに弾けることが多々あります。初級レベルのテキストを学習中の生徒さんは、特にそうです。1回目、2 回目で弾けなくても、レッスン中に弾けてしまうことはよくあります。今回の生徒さんも完璧な片手練習の甲斐があって、レッスン中に両手で仕上げることが できました。イライラしながらの両手練習になるくらいだったら、完璧な片手練習を目指して上達の道を進んでいきましょう。でもその前に、毎日の練習を 怠らないでやって欲しいかな?
合唱コン楽譜 10月に合唱コンクールを迎える中学校が2校あります。伴奏者の生徒さんたちは、更に良い演奏に向けて今が佳境の時。細かい指示がポンポンと飛んでいる レッスンになっています。そんな中、一足早く、楽譜を作ってくれた生徒さん。黒い表紙をつけて綺麗に製本されていました。何でも、お母様が作って くれたとのこと。「楽譜くらい、自分で作りなさいよ〜」と、偉そうに言ってしまいましたが、私自身も、子供の楽譜をせっせと作っていました。ついつい 手が出ちゃう。これも親心。作ってもらっている本人は、作ってもらって当たり前的な雰囲気を醸し出していますが、感謝をする心は忘れないで欲しいかな。

私は、伴奏者には楽譜の製本をオススメしています。学校から伴奏者に渡される楽譜は当然コピー楽譜なので、白いペラペラのコピー用紙です。 それが何枚にも渡ります。伴奏者には合唱コンクール当日は、楽譜をピアノにセットして弾くように伝えています。暗譜で、楽譜をピアノに置かないで弾いている 伴奏者を見かけますが、伴奏は、本来は楽譜を置いて弾くもの。頭の中では暗譜ができていても、楽譜を見なくても弾ける状態であっても、目の前には楽譜を セットしておくことが通常です。何故かと言うと、万が一、何かあったときの為に、楽譜を見ることができるから。そのことから、伴奏者は楽譜を手に持って 舞台に上がることになります。手に持った楽譜が、白いペラペラの場合と、製本された楽譜の場合と、どちらが見た目的に良いでしょうか?やはり、後者の 方が良いと思いませんか?

学校によっては、黒い表紙に楽譜を貼り付けて用意してくるように指示がある学校もあります。何故、黒い表紙の指示が 出ているかわかりますか?それは、ピアノの色が黒いからです。楽譜を置く譜面台も黒色。黒い譜面台に黒い表紙の楽譜を置けば、目立たないですよね? 特別に、学校の先生からの指示がない場合は、楽譜の製本もしなくてよいのですが、あとは気持ちの問題と見た目の問題です。私も強制をしているわけでは ありませんが、製本してある楽譜を持って舞台に上がっていると、きっちり見えて良いものです。できれば作ってほしいかなぁと思います。表紙は画用紙よりは 厚画用紙の方が、よりしっかりして良いようです。手間もお金もかかってしまうので面倒な作業でもありますが、いつもお世話になっている楽譜です。大切に 扱う意味でも、製本してみませんか?
ソナチネ楽譜 ソナチネ(ブルグミュラーの次のレベル)を学習中の高校生の生徒さん。高校生以上の生徒さんになると、基本的には生徒さんとの直接のやり取りになるので、 保護者の方と直接お話しをすることはなくなります。それでも教材のことなど、お耳に入れておいた方がよいのかな・・・と思うことについては、お電話で お話をすることも。久しぶりに高校生の生徒さんのお母様と話をしてみて、「本当に20分程度の隙間時間練習なんです。ピアノは弾けているのでしょうか?」 とのこと。いやいや、充分すぎるくらいの出来栄えの生徒さん。隙間練習でこんなにも弾けるようになるのだと、私の方が驚きました。

レッスンの 最後に少し時間が余ってしまったので、「次の曲、ちょっと弾いてみる?」と、4段ほどの曲を弾いてもらいました。練習している曲は写真にあるソナチネの曲。 なんと、一つのミスもなく最後まで弾いてくれました。初見でこのレベルがさらさらっと弾けてしまうのですから、20分の練習でも上達するはず。ある意味、 納得の結果です。初級レベルの曲と違って、初見でミスなく弾けたから合格にはなりません。ここにペダルはもちろん、曲に表情をつけて深く掘り下げての レッスンになります。ソナチネ以上のレッスンでは、楽譜に書いていないことの表現や、様々な弾き方を学習していきますので、その場その場で対応してもらう ことが多々あります。読譜に苦労しているようではレッスンにならないのも事実。私の無茶振りにも(?)対応できる生徒さんでないと・・・・。

今日はこの高校1年生の生徒さんについて少しお話を。この生徒さん、神田ピアノ教室の中で1番の弾ける生徒さんです。それも群を抜いて。そして、教室の生徒さん の中では、1番の忙しい生徒さんでもあると思います。神田ピアノ教室へは、小学2年生の時に、 お引越しで入会されました。珍しくバイエルのテキストを学習していらして、ちょっと驚いたものです。順当に学習は進み、ブルグは小学生で終了されたように 思います。小学校高学年からは学校でも活躍され、中学校では合唱コンクール伴奏者、卒業式での伴奏者にも選ばれました。すでにソナチネの学習には進んで いましたが、受験もあるため、中学校3年生の時は、ジブリの曲などの簡単に弾ける曲を学習しました。そういえば、この時からジブリの何ページもの曲を、 初見演奏で弾いていました。受験の週もレッスンはお休みされることなく、うまい具合に両立されていました。ピアノがストレス発散の役割をしていたのかも しれませんね。小学校から金管のクラブに所属されていて、中学校では吹奏楽部に入部。学校が強豪校なので吹奏楽部の練習も大変なようでした。が、ピアノは 辞めずに続けてくれて、今に至ります。高校でも吹奏楽部、これもまた強豪校らしいので、練習は大変そうです。高校の合唱コンクールでも伴奏者を任されて、 20ページもの伴奏譜を1ヶ月ほどで仕上げた生徒さんです。半端ない読譜力がついている生徒さんです。

ピアノは・・・と言うか、音楽を学習する 上では、読譜力が上達を左右します。音やリズムで苦労しているようでは曲が頭の中に入ってきません。楽譜を見たと同時にどのような音楽なのかが分かる状態が ベストな状態です。では、読譜力はどのようにつけていけばよいのでしょうか?楽譜は不思議なもので、目に触れている時間が長いだけ、読譜力がつくと言われて います。吹奏楽部でも楽譜を見ている生徒さんは、ピアノだけの学習者よりも有利な状況にあります。ですが、ピアノ学習だけでも読譜力はつきます。いつも言って いますが、同じ曲を何週間も弾いているよりも、次々と新しい曲を練習していく方が読譜力はつきます。ここまでの状態にするためには、音読みは早い段階で できるようにしておくのがやはり良いです。そのために、「音符カード早読み大会」も導入しています。結局はここ。音読みにつながっていきます。

何だかんだと言っても、小学生の間が1番時間があります。その小学生の間に読譜力をつけておくと、忙しくなった中学生、さらに大変になる高校生になっても 楽しくピアノを続けていくことができ、自分の好きな曲を演奏することができます。私が目指しているところもここにあります。早い段階での読譜力を身に つけ、隙間時間を有効に活用して弾きたい曲を自由に楽しく弾けるようにしていきましょう。高校生の生徒さんの演奏する姿を見ていると、本当に楽しそう。 そのへんに落ちている?隙間時間を活用して、楽しさを手に入れようよ。
ペダル楽譜 ペダルは音を弾いた後に踏むものなので、わかりやすく踏めるように、こちらのペダル学習の楽譜には「1と2と3と4と」と、「と」を入れた数え方で踏むように なっています。楽譜をよく見てみると、1~2小節目までは丁寧に数え方が書いてあるのですが、3~4小節目は「1と2 3 4 」しか書いてありません。何気に、 レッスンの終わりに生徒さんのお母様が「楽譜に書いてある通りに数えながら弾くのが難しかった」とおっしゃいました。「ん?」と思って話を伺って みると、楽譜に書いてあるそのままの数え方で必死でリズムを取ってくれたそう。いやいやいや、それは難しいでしょう?

いつも言っていますが、 曲は最初から最後まで同じ数え方で数えなければ、リズムが狂ってきますから、拍子がずれてしまいます。この楽譜の場合、「1と2と3と4と」と「1と2 3 4 」の二通りの数え方で数えてしまうと、普通はリズムは狂ってしまうはず。それを狂いのないリズムで正しく弾けているのだったら、相当大変だったはず。 だから「難しかった」という本音が出たのでしょう。楽譜って、そんなに私たちに親切には書いてありません。この曲の場合だったら、3~4小節目には、自分で 勝手に「と」を入れて数えて弾くのが普通です。楽譜には書いていないけれど、今までと同じように数えてね・・・の意味が込められています。

このようなことは、他の楽譜でも見ることができます。曲は時に、同じメロディー、同じフレーズが出てくることが多々あります。すぐに出てくる場合もあ れば、別の違うメロディーを挟んで後から出てくることもあります。そのどちらの場合も、2度目に出てきた時には、1度目に出てきた時に書いってあった 指番号は、書いていないことがほとんどです。それは「さっきと同じなんだから、同じように弾くのが普通でしょ」ということを意味しています。書いて いないから勝手に好き勝手に弾いていいことにはならないのです。生徒さんの中にも、2度目に出てきた時に、1度目と違う指番号で弾いてしまってミスを している生徒さんを見かけますが、同じものは同じに弾くことを徹底しなければなりません。逆に違うように弾いて欲しい場合は、わざわざ書いてあり ます。

「楽譜ってそんなに親切ではありませんよ〜」と、最後は笑い話でお終いになったのですが、不親切な(?)楽譜に慣れるまでには、時間が かかるかもしれないですね。ただ、数え方については、曲の最初から最後までは同じ数え方で、指番号については、特別に指示がなければ同じものは同じに 弾く、を頭に入れて練習するようにしましょう。ピアノ学習も進んでいけば、書いていないことを読み取って表現することも多くなっていきます。頭をフル回転 させて、読み解く力を養っていきましょう。
深い音伴奏譜 中学生の生徒さんの、合唱コンクール伴奏譜の指導での1コマ。同じことを2回続けて弾くのですが、この部分、1小節目はメゾ・フォルテの 指示(楽譜には写っていませんが)、2小節目はメゾ・ピアノ(こちらは写っていますね)になっています。簡単に言ってしまえば、1回目が大きくて2回目が 小さい・・・なんですが、生徒さんの音を聴いていて何かが違う。音の大きさはその通りに弾いてくれているのですが、う〜ん・・・。「もっとググ〜ッと 鍵盤を押し込む感じで・・・」 こちらの思うことが上手く伝わらないもどかしさ。私の語彙力のなさ・・・トホホ。

「こんな感じだよ」と弾いては 見るものの生徒さんには伝わらず、私自身の「こんな感じってどんな感じだろう?」と考えた時にひらめいたのが「深い音」と言う言葉。「このメゾ・ フォルテさぁ、深い音が欲しいんだよね」と言った途端、生徒さんにはストン!と納得がいったらしく「深い音って言われるとわかりやすいです」とのことで、 見違えるような素晴らしい演奏になりました。言葉一つで様々な弾き方が生まれ、弾き方が違うと言うことはタッチが違うと言うこと。どんな風に弾きたい のか、どんな音を出したいのか、イメージをすることは大事なこと。こちらの思いが生徒さんに伝わるって嬉しいものです。

私はよく、小さな生徒さん へも音のイメージを違う言葉で表現しています。例えばスタッカートの説明では「熱い鍋を知らずに触った時の感じ」といった具合です。短く切って弾く スタッカートですが、ただ単に「短く切って」と言われるよりもイメージしやすくありませんか?熱い鍋だと知らずに間違えて触ってしまったら、びっくりして 手を引っ込めてしまいますよね?この経験がある生徒さんへはピッタリの説明です。では、経験がない生徒さんへはどうしましょう?そんな時はボール遊びを 思い出してもらいます。ボールを地面につくと跳ね返ってくるイメージです。また、和音の音を芯の通った響きで弾いてもらいたい時には「朝礼(朝会)の ときの気をつけ!のイメージだよ」と、お伝えしています。号令がかかると背筋がピン!と伸びるあのイメージです。音の大きい・小さいにしても、「運動 会の行進のような元気なイメージ」「赤ちゃんが寝ているからそ〜っと歩くイメージ」など、その時々によって様々です。

的確に音のイメージを 生徒さんへお伝えするためには、語彙力が不足していると伝えることができません。また、受け取る側の生徒さんにも同じことが言えます。語彙力を鍛えると いっても難しいことはなく、日頃の読書だったり、他の人との会話や様々な経験を積むことで鍛えられていきます。「言葉の引き出し」を増やすことで、 ピアノの表現も豊かになっていきます。素晴らしいですね。私もがんばろ〜っと。
3拍子楽譜 3拍子の曲を宿題に出すと、半分くらいの生徒さんは4拍子で弾いてきちゃう問題。それは子供の生徒さんでも大人の生徒さんでも同じです。弾いている 生徒さん自身は間違っているとは思っていないので、「4拍子になっているよ。3拍子にはなっていないよ」と伝えても、最初はパッとわからないことも 多いです。

ピアノ学習を始めた初期の段階から、拍子を取りながら(数えながら)弾くことを指導していますから、3拍子の曲は「1,2,3」と いった具合に数えて弾くことになります。言葉的には「1,2,3」と言いながら弾いてくれていますが、実際の間の取り方は「1,2,さ〜ん」と、3拍目だけが 間延びして数えていることが多いです。「1,2,3,1,2,3・・・」と、同じ速さでリズミカルに数え続けないと、正しい3拍子にはなりません。今回の 3拍子を4拍子に弾いてきちゃった生徒さんは、また別のパターンで4拍子になっていました。「1,2,3 1,2,3 」と数えてくれていましたが、3拍目の 音の後に勝手に休符をとっていました。実際には「1,2,3,(うん)1,2,3(うん)」といった具合です。3拍目を長く取るようなことはなかったのですが、 3拍目のあとに1拍分の休符を入れていました。これもやはり、実際の演奏は4拍子になってしまいます。

どちらのパターンの場合も、3拍子での 演奏になっていないので間違いです。最初に書きましたが、生徒さん自身は正しいと思っているし、数え方的には「1,2,3,1,2,3」しか言っていないのです から、自分では間違っていることに気がつきにくい。じゃあ、どうする?こんな時にこそ、メトロノーム。メトロノームを3拍子に合わせて、今、自分が 演奏している速さで構わないので、「チン、タッ、タッ、チン、タッ、タッ」に合わせて弾いてみましょう。正しく弾けていれば、最後まで1拍目に「チン」が きているはずです。3拍子を3拍子以外で演奏していれば、「チン」の合図が1拍目以外になって狂っているはず。さて、自分の演奏はどちらですか?

今回の3拍子の曲に関わらず、メトロノームを購入していただいている生徒さんは、基本的には練習する全ての曲を、必ず1回はメトロノームに合わせて欲しい です。私から「メトロノームに合わせてごらん」と、言われてから合わせの練習をしているようでは遅いのです。正しく弾けている生徒さんへはわざわざ「 メトロノームに合わせてね」とは伝えていないので、拍子の注意を受ける前に、1度はメトロノームに合わせる練習をしておきましょう。1度合わせてみて、 正しく弾けているようならばokですから、それ以降は合わせなくてもよいでしょう。でももし、「チン」が1拍目以外で鳴っているようならば、残念ながら 正しく弾けているとは言えません。正しく合わせて弾けるように修正をかけなければなりません。正しい音、正しいリズム、正しい拍子は、音楽の基本 です。基本的なことで注意をされないためにも、メトロノームに合わせる練習を取り入れてみてください。
ステップご案内 12月から3月にかけての、ピティナ・ステップのご案内をお渡ししています。過去にステップへの参加をされた生徒さん、新しく入会をしてくださった 生徒さんたちへは、既にお手紙を配布していますので、お手元に届いているかと思います。もしかして、お子様のレッスンバッグの中に入ったまま・・・ なんていう生徒さんもいらっしゃるかも?時々はレッスンバッグの中もチェックしてください。

ホームページの「教室生ページ」にも案内を 載せています。クリックしてくだされば、ピティナ・ステップのページが見られるようにもなっていますので、参加を考えていらっしゃる生徒さんや 興味がある生徒さんは、一度、ピティナのホームページもご覧になられると良いと思います。只今、3つのホールでのステップをご案内していますが、 光が丘のIMAホールは、工事が行われるため来年1年間は閉館になるホールです。3つのホールの中では古いですが、1番大きなホールです。「THEピアノ 発表会」と表現するにふさわしいホールかなと思います。サンアゼリア小ホールは、和光市にある可動式座席のホールになります。ゆめりあホールは、 みなさんよくご存知の大泉学園駅にあるホールです。教室からは1番近いホールになります。つい先日の8月にもステップが行われ、教室からも生徒さんが 参加されました。こじんまりとしていますが、綺麗なホールです。

参加を検討されている生徒さんは、日程の調整もあるとは思いますが、参加を しようとしているホールがどんな雰囲気なのか、一度確認をされると良いと思います。一言で「ホール」と言っても、舞台と観客席が近いホールもあります し、ピアノと座席が同じ地面の高さの場合もあります。(サロンなどが当てはまります)今は、ネットで簡単に調べることもできますから、申し込みを する前に、お子様と一緒に参加するホールの形を見ておかれるといいですね。過去にありましたが、思っていた以上にピアノと観客席が近すぎて、余計に 緊張してしまった生徒さんもいらっしゃいました。あまりに緊張の度合いが大きいと、日頃の実力が十分に出せないこともあります。事前に調べられる 情報は知っておくのがよいでしょう。

参加を検討されている生徒さんは、演奏曲の選曲に入りたいと思います。レベル別での参加料金で、レベルに よって演奏時間も変わってきます。練習のモチベーションを保つためにも、自分の成長具合を確かめるためにも、また、舞台度胸や舞台慣れを養うためにも ステップへの参加はオススメです。ぜひ一度ご検討を。
2学期が始まり、新年度からの新しい環境での生活に慣れた頃でしょうか?ピアノ教室入会へのお問い合わせをいくつかいただいています。ピアノを習わせたい・習い たいと思ってピアノ教室を探されている生徒さん、ピアノ教室へ何を求めていらっしゃるでしょうか?「将来はピアニストに」「是非とも音楽大学へ」と、 意気込んでピアノ教室を探されているでしょうか?小さなお子様を相手に、ここまでの考えでピアノ教室を探されているご家庭は、皆無とまではいかなく ても、ほぼ皆無に近いのではないでしょうか?

私自身ピアノ講師をしていますが、音楽の道へ・・・と真剣に考えたのは高校生の時。ピアノ学習の 始まりは、幼稚園の先生に憧れて習いたいと言ったらしいです(全然、覚えてないのですが)習い始めの頃は、ピアノの道へ進むとは家族の誰も思っていなかった と思います。私がピアノ教室を通して生徒の皆さんに伝えたい思いは、

継続する力
集中力
努力する力
音楽の楽しさ

です。これらを学んでいく先に、音楽の道に進む選択や、ピアノが主でなくても学校 の先生や幼稚園・保育園の先生になる選択が出てくるのだと思います。実際、私自身は、中学・高校の音楽の教員免許を持っています。

まずは、楽しく音楽に触れてもらうことを優先していますので、ピアノの コンクールについても、積極的にオススメするということはありません。私自身、小学校・中学校とコンクール経験があるので、メリットもデメリット もあることがわかっているからです。ただ生徒さんの側からコンクールの話がある場合は、コンクールに向けての指導をしますし、過去には入賞した 生徒さんもおられます。ピアノ講師の方針ではなく、各ご家庭の方針でコンクール参加は決められたらと思います。

たくさんのピアノ教室が ある中で、ピアノの先生の考えも様々です。大切なことは、どのようなピアノ教室で自分が学びたいか、お子様を学ばせたいのかを考えることだと思います。私としては、 教室の方針に共感してくださる生徒さんに、入会をしていただければ・・・と思います。ピアノ教室に対する私の思い、伝わっていると嬉しいのですが・・・。
ジブリ楽譜表紙 先日、12月から3月にかけてのピティナ・ステップのご案内記事を書いたばかり。教室のホームページからも詳細が見られるようになっています。 早速、「来年のステップに出たい」との意思表示をしてくれた生徒さん。今回が初めてのステップ参加となる、小学3年生の生徒さんです。来年の ステップまでの期間は、10月から練習を始めたとしても4ヶ月以上。これはなかなかの難しい曲にも挑戦ができそう。「難しい曲にも挑戦ができそう だけど、どうする?練習は大変だけど」と、お尋ねしたところ、間髪を入れず「うん。やる。」との返事。やる気にみなぎっている様子が伺われます。

日頃から練習ができている生徒さんなので、きっと、練習も頑張ってくれると思います。でも、日頃のレッスン曲を仕上げるよりも更に細かく 丁寧になっていくため、いつもよりもプラスアルファの力が欲しい。練習を頑張ることは普通の条件であって、そもそも練習が疎かになっている生徒さん へは、難しい曲の提案はしません。では、プラスアルファの力は誰に頼るのか?実は保護者の力が必要になってきます。日頃、お子様と接していることが 多いのは、ピアノ講師よりも保護者の方。保護者の方には、日頃の練習にも増して言葉かけをお願いしたいのです。いつもよりも、お子様のピアノ演奏を 聴いていただき寄り添って欲しいと思っています。

ではどんな言葉かけが理想でしょうか?いつもお願いしていますが、できない箇所を怒ったり 叱ったりして欲しいわけではありません。できないものを怒る・叱るは逆効果。できないからピアノ教室へ習いにきているわけですから、できないものは 講師へ任せてもらって構いません。わざわざ自宅で弾けるようにして、私の仕事を減らしてもらわなくても大丈夫です(笑)保護者の方には、お子様を 持ち上げたり励ましたりして、気持ちよく練習できる環境を整えて欲しいです。そして、いつもよりもお子様の演奏を聴いて欲しい。演奏を聴かれている お子様は、上達も早いです、これは本当の話。自分の実力以上の曲に挑戦するには、ご家庭の力が必要です。

お子様の練習に寄り添っていただくのは、 何もステップ参加に限りません。これもいつも言っていますが、せめて最低でも小学生の間は、1日15分のピアノ練習の横に座っていて欲しいです。ただ、 保護者の方も忙しいです。毎日して欲しいのですが、それが無理ならば1日置き、2~3日置きでも、週末だけでも・・・寄り添い練習をお願いしたいもの。 1人で、誰にも聴かれることなく弾いているピアノは寂しいものです。お子様のピアノの上達を、保護者の方も一緒になって実感しましょう。保護者の方が 思っている以上に、お子様は頑張っていますよ。
バーナム3連符 テクニック教材の学習中に時々出てくる8分音符の3連符。1拍を均等に3つに分けて弾くリズムです。普段の8分音符は2つに分けて弾きますから、少し速い リズムになります。粒を揃えて綺麗に弾けるようにするために、メトロノームを3拍子にかけて合わせてもらったり、「123,223,323,423」と数えながら 弾いてもらったりしています。数えながら弾いている最中は上手に弾けているのですが、数えることを途中でやめてしまうと、途端に崩れる3連符。 「123,223・・・」もつまらないかな?

ちょうど3連符の曲を練習中の生徒さん。3連符が崩れてきてしまったので「トマト、トマト、トマト ・・・って言いながら弾いてごらん?」と、提案しました。トマトでないとダメということはないのですが、私の頭の中でとっさに出てきた3文字の言葉が トマトでした。やってみると、トマトは「ト」が重なるので言いにくそうです。「3文字なら何でもいいんだよ」と、生徒さんに提案をして色々出てきた 3文字の言葉。ミカン、ブドウ、メロン・・・既に何回も弾いてくれている生徒さん。結局落ち着いたのは「メロン」。大爆笑しながらのレッスンになりまし た。冗談のような遊び半分のようなレッスン?ですが、この方法、3連符が上手に弾けるようになります。

リズムを口ずさむ一つの方法として、 タン、タン、タン・・・、タタタタタタ・・・、タンタタタンタン・・・などのように、タンやタを使ってリズムを表すことがあります。今回の3連符の リズムの場合は、「タタタ、タタタ、タタタ、タタタ」になります。もちろんこの数え方で数えてもらって構いません。が、ちょっと言いにくかったり しませんか?また、何拍子の曲を弾いているのかを意識するためにも、タタタではなく、123,223,323,423と数えた方が、4拍子を弾いていることを 意識しやすいですね。ただその数え方で上手くいかない場合には、今回のように何か物に置き換えて数えてみることは効果的です。小さなお子さんと一緒に 学ぶリトミックの現場では、リズムの導入は果物や野菜、乗り物など、お子様の身近なものに置き換えて口ずさみます。最終的に「このリズムは◯音符だよ」 と、音符の導入につなげていきます。日頃は真面目に3連符の数え方で練習をしている生徒さんたちですが、時にはおもしろおかしく数えて みてもいいですね。3連符の数え方に飽きてしまったら、メロンでも、イチゴでもスイカでも置き換えて数えてみてください。いつもよりも楽しく充実した 練習になること間違いないです。今回の生徒さん、「メロン」で綺麗な3連符に仕上がって合格!上手に弾けるようになって良かったね!
ピアノこころのほけんしつ 最近、巷のピアノ教室の間で話題になっている「ピアノ こころのほけんしつ」ですが、神田ピアノ教室も、「ピアノ こころのほけんしつ」 の登録教室に なりました。これは、自殺予防プロジェクトの一環としての活動で、生徒さんの変化に気づいたり、本人の気持ちに寄り添いお話を聞いたりなどの準備が あることの現れです。

確かに考えてみると、ピアノ教室は1人の生徒さんに長い期間、関わることが多いです。未就学児さんや小学低学年でピアノ 教室に通い始めた場合、中学生まで通ったとしても10年近く、それ以上になります。1週間に1度、定期的に顔を見ることになるので、生徒さんの変化にも 気がつきやすい状況ですし、生徒さん自身もピアノの先生を信頼してお話がしやすい状況になっているのではないでしょうか?親に言えない悩み事でも、ピアノの 先生になら言えたり、学校は不登校気味でも、ピアノ教室には喜んで通える生徒さんも見受けられることから、ピアノ教室が保健室化していると言われて います。実際、教室の生徒さんの中にも、学校での悩み事を話してくれたり、お友達とのやり取りを話してくれる生徒さんもいらっしゃいます。相手のことを 知らないピアノの先生だから、話しやすいと思うこともあるかもしれないですし、お家の人には知られたくない話もあるかもしれません。私に話をして スッキリするのでしたら、大いに私を利用してもらって構いません。また、保護者の方も、お家でのお子様の様子で気になることがあれば、一言、伝えて くだされば私の方でも気にかけて見守ることができますので、どうぞ気軽に声をかけてください。

ピアノ教室を卒業された昔の生徒さんですが、 私のことを「第二の母」だと言ってくれていた生徒さんがいらっしゃいました。その生徒さんは未就学児さんから高校3年生まで通ってくださっていました。 実に15年近くのお付き合い。私も言いたいことをズケズケ(?)と言ってしまうのですが、いつも本音で話しています。悪いと思うことは悪い、良いと 思うことは良い、自分の子供に言うように話しています。逆にこれが良いのかもしれないですね。小さなことでも何でも話しやすい状況を作れるように、 私も気をつけたいと思います。生徒の皆さんの「第二の母」になれるよう、精進したいと思います。ただし、優しい母ではありません。悪しからず。
ミッキーマウスマーチ みなさんよくご存知の「ミッキーマウス・マーチ」の曲。ディズニーランドに行っても行かなくても、耳にすることが多いのではないでしょうか?でも、 みなさんが耳にするミッキーマウス・マーチの曲は、この楽譜の通りの曲でしょうか?

軽快なテンポで練習をしてきてくれた生徒さん、確かに よく聴く曲だけど、楽譜を見ながら聴いているとリズムが?楽譜の通りには弾いていないよう。例えば、8分音符を勝手に付点のリズムで弾いてしまったり、 6拍子の曲なのに6拍子になっていなかったり・・・。う〜ん、何故そういうことが起きてしまうのか?完全にイメージ先行で弾いてしまっています。よく 耳にする曲「あるある」です。いつも聴いている曲やよく知った曲は、何となくこんな感じかな?と、リズムが頭の中に残っていますから、そのまま弾いて しまうのでしょう。でも、実際に練習している曲は目の前にある楽譜の曲になります。頭の中のリズムが付点になっていても、目の前の楽譜が付点になって いなければ、勝手に付点で弾いてはいけません。音符の長さを学習してきているのですから、楽譜は正しく読み取っていくようにしましょう。

では、リズムの間違いをしないために、どんなことに気をつけて練習をしていけば良いのでしょうか?この曲の場合はマーチの曲ですから、軽快に弾きたい のはわかります。ですが最初から、速いテンポで練習をしているわけではないと思います。ゆっくり練習をしている最初の段階でメトロノームに合わせて みると、リズムの間違いに気がつくはずです。その曲の拍子に合わせて、チン、タッ、タッ・・・・とメトロノームに最後まで合わせて弾けたならOK。 メトロノームの音をちゃんと聞きながら合っているかどうか確認をしてみましょう。よく知った曲ほど、メトロノームに合わせる練習は必須です。

今回はたまたまディズニーの曲でのお話になりましたが、ジブリの曲を練習中の生徒さんも同じことをやらかして(笑)いました。完全に イメージ先行で弾いてしまったために、楽譜通りのリズムではありませんでした。もともとピアノ曲で書いていない曲は、楽譜によって拍子や調(フラットや シャープの数)が違っています。アレンジも様々になされているために、目の前にある楽譜をきちんと読むことが重要になってきます。曲として聴く時には、 付点であっても付点でなくても正解ですが、楽譜の曲を弾くのであれば、やはりその楽譜を正しく表現しなければいけません。最初からメトロノームに 合わせての練習をやっていれば、私にお小言を言われることも(?)なくて良かったのに・・・。楽譜を見て練習をしているのですから、楽譜通りに表現していける よう、メトロノームを活用しましょう。くれぐれもイメージ先行にならないように注意をしてください。
時の旅人楽譜 10月に合唱コンクールが行われる中学校が2校あります。既に1ヶ月を切った中学校も。ここからは、いかに小さなミスをしないで弾けるようにしていくか、また、 ミスをしたとしても動揺しないで、素知らぬ顔で弾き続ける図太さ(笑)を持って練習していかなければなりません。ミスをすることが悪いとは言いませんが、 ミスはするよりしない方がいいもの。ミスをしたからと言って、伴奏がいちいち止まっていたのでは音楽として成り立ちませんから、ミスったとしても知らん顔で 弾き続ける技術も必要です。

そして何より私が1番に力を入れていることは、伴奏者の「よそ見練習」です。合唱の伴奏は、指揮者の合図で前奏の演奏が 始まります。指揮者の最初の一振りを見ておかないと、音を出すタイミングがわかりません。ということは、伴奏者の第一音目の音は、鍵盤を見ながら弾くことは できません。第一音目の音に手をセットしたら、顔は指揮者を見ることになります。鍵盤を見ないまま第一音目を出すことになるのです。これはソロピアノとの 1番の違いです。ソロピアノでは、他に見なければいけないものがあるわけではないので、鍵盤とじっくり向き合って第一音目を出すことができます。しかし合唱 の伴奏では、第一音目だけでなく曲の途中や最後の音切りまで、常に指揮者を意識し、指揮者を見ての演奏が続きます。

時々、指揮者を全く見ないで 自分のピアノ伴奏の演奏に一生懸命になっている生徒さんがいらっしゃいます。そうするとどうなるのか?指揮者の拍子とピアノ伴奏が合っていない状況が 生まれます。生で聴いているその時は、皆さん自分のお子様の演奏やビデオ撮りに忙しかったりでなんとも思わなく聴いていられるのですが、後から冷静に DVDやビデオで見直してみると、ズレていることがよくわかります。合唱は指揮者の方を向いて歌っているので、嫌でも指揮者が目に入りますが、ピアノ伴奏は 意識をして見るようにしなければ、指揮者が視界に入ってくることはありません。自分では正しい拍子で弾いているつもりでも、自分の演奏に入り込んで演奏している 場合は、テンポも揺れがちです。指揮者とズレている演奏は、見ていて格好が悪いものです。

昨年、伴奏者賞を受賞した生徒さんの講評には、「指揮者を 見ていて、伴奏に慣れている感じだった」と書いてあったとのことでした。別に特別なことをしたわけではありません。合唱の伴奏は指揮者を見ることが 当たり前。いかに指揮者を見ないで、独りよがりで演奏している伴奏者が多いのかを物語っています。レッスン中にも「はい、あっちみる。はい、指揮者見て〜」 の言葉がポンポン飛んでいます。跳躍がある箇所や速い動きのある音楽では指揮者を見ることが難しい場合でも、伸びのある旋律だったりゆっくりの箇所では、 指揮者を見ながらの演奏は十分に可能なはず。できる限り指揮者を見て、指揮者、合唱、伴奏の3つが揃った演奏ができるかどうかが、素晴らしい合唱の第一歩。 ズレズレの音楽なんて、許しませんよ〜。
合唱コン楽譜 合唱コンクールの伴奏やピティナ・ステップ、卒業式や入学式など、本番が迫っている生徒さんには、どんなに忙しくても、どんなに部活で疲れていても、 1日に必ず1回は本番の曲を練習するように言っています。長年ピアノを習ってきている生徒さんはよくわかることですが、ピアノを弾かない日があると、 これまでと同じように弾けなくなっている指に直面します。「こんなはずじゃないのに」状態に陥ります。上手に弾けなくなったものを上手に弾けるように するには、かなりの労力が必要です。だったら、せめて今の状態を維持できるようにするために、1日1回は弾くことをお願いしています。

指を 慣らしておくために弾く1日1回ですが、あくまでもこれは忙しい日限定です。時間が取れる時には、通常通りの練習にしましょう。さて、忙しい日の 1回しか弾かないピアノですが、どのように思って弾いていますか?「先生に怒られるから仕方ない・・・」「取り敢えず弾いておこう」「面倒 くさい」などなど思いながら弾いていませんか?そんなことを思って弾くピアノなら、弾かない方がいいです。1回しか弾かないピアノだから、その1回は 真剣に精魂込めて弾きましょう。どんなことを注意されたのか、どんな風に弾きたいのか、考えながら弾いて欲しいのです。適当に弾いても1回、真剣に 弾いても1回、同じ1回なら真剣に弾いた方が自分の為ですよね?そもそも、本番前になっても真剣に弾けないピアノだったら、学校からの伴奏やステップ 参加など、引き受けてはいけないと思うのですが、いかがでしょうか?

私は誰にでもこんな鬼のような(笑)ことを言っているわけではありません。 本番が控えている大切な時だから言っています。普段の生徒さんへは「今日は帰って寝た方がいいよ」「風邪が治ってからピアノの練習も少しづつ始めて」と、 天使のような(?)言葉掛けです。いやいや、これホント。「やっぱりあの時、練習しておけばよかった」と、後から思っても遅いのです。後悔をすることの ないように、本番を控えている生徒さんには「1日1回弾き」をうるさく言っているのですが、私の気持ち、上手く伝わっているかな?
小山台高校校歌楽譜 レッスンの前日に高校生の生徒さんから1通のメール。「校歌の伴奏をすることになりました。かなりやばいです」とのこと。通常、校歌の伴奏譜はそんなに難しい感じでも なく、ページ数にしても2ページほど。高校の合唱コンクールで20ページもの伴奏譜を弾き切った生徒さんですから、「またまた謙遜を・・・」と思って いました。ただ、本番まで1週間しかないので、どこかで補講レッスンを入れないといけないかな・・・?と思っていたのですが・・・。

次の日、 早速レッスンで校歌の伴奏練習。楽譜を見てびっくり。4ページもある・・・・。転調してる・・・・。うっそ〜。校歌の伴奏譜で転調している楽譜って 初めてみました。聴かせてもらったところ、校歌の伴奏とは思えないほどの綺麗さ。16分音符がたくさんある楽譜で、生徒さんの言うように「やばい」 かも。それでも、最後まで弾いてきた生徒さん。まぁ、そんな腕の持ち主じゃないと、1週間前の伴奏者抜擢はあり得ないのですが。

何でも、 ドイツの高校生との交流演奏会(?)で披露することになったらしいのですが、きちんとしたホールで行われるとのこと。これは何としてでもバシッ!と 決めたいところ。さて、この曲をどう料理する?長年のお付き合いのある生徒さんなので、こちらがポンポン言っても即座に答えてくれる生徒さんです。 校歌ということは指揮者もいるということ。この曲の始まりは跳躍がある曲で、当然弾き始めは指揮者を見ていなければならず、かなり難しい弾き始めと なります。1週間の間に演奏を仕上げて、よそ見練習をして、テンポを正しく弾けるようにしなければなりません。これはこれは、かなりの難関。 ホント、心臓に悪いよ。本番前の最後のレッスンが楽しみでもあります。がんばれ〜。
パッフェルベルのカノン テキストの楽譜には、最適な指番号が書いてあります。和音などは基本の指番号がありますし、音階も綺麗に弾くための指番号が存在します。一見「あれっ?」 と思うような指番号が書いてあっても、大抵は意味があって書いてあります。弾きにくいなぁ、と感じても、次のフレーズに綺麗につなげるための指番号で あれば、やはり守って弾くようにしなければなりません。

教則本と言われて利用しているテキストには、指番号も丁寧に書いてありますが、 その他の楽譜の場合は、全く指番号が書いていないものもあります。そのような曲を練習する場合は、生徒さんの手の大きさを考慮しながら、基本の指番号を 当てはめて練習することになります。写真の楽譜のように、1オクターブに渡って分散和音になっている場合は、指を広げた状態で弾き切ってしまう方が 弾きやすいです。1番の指で入ってきたら、5番の指で弾き終わりの形を作っておくのです。指番号の記載がない楽譜でしたので、私が書き込みましたが、1度 決めた指番号は必ず守るようにしましょう。今日は2番で弾いたけど、明日は3番、その次の日には1番になっていた・・・と、毎回違う指で練習していると、 頭も混乱しますし、何より音ミスを起こす確率が高くなります。

生徒さんの中には、テキストに書いてある指番号を全く無視して、ミスばかりしながら 弾いている人もいます。これって私から見ると、勝手に間違えて弾いて勝手に自滅している状態です。新しく曲を見るときに、音と一緒に指番号も視界の中に 入ってくると思うのですが違うでしょうか?何でも最初が肝心。最初に適当に練習を始めてしまうと、後から正しいものに直すには時間がかかってしまいます。 それは時間も労力も勿体ないです。最初の段階で、楽譜の中に書いてあることは守るようにしましょう。

指番号を守らない生徒さんは、大抵は いつも一緒の生徒さんです。・・・ということは、きちんと楽譜を見る力が抜け落ちているということ。適当に弾くことを続けていると、いつまでも曲が 仕上がらない状態が続きます。指番号を守って弾くことが、上手な曲の「カギ」となります。「音とリズムが合っていれば何でもいいでしょ?」と思っているか どうかわかりませんが、指番号を守ることは上手に弾く第一歩。指番号を守って自滅しない曲を目指しましょう。
悪い手の形 ピアノ教室に通ってくださっている生徒さんには、レッスンの初めに指先意識を促すために、「玉ひも」を掴む一連の動作をしてもらっています。これは、 3歳さんでも大人の生徒さんでも、10年以上通ってくださっているベテラン(?)の生徒さんでも一緒です。玉ひもを掴んでいる指先で、ピアノを弾くことを 意識するために行っているので、掴んでいる指先だけをピアノの鍵盤に触れるようにして欲しいのです。

日頃から、ピアノを弾く手の形については、 口うるさく言っています。やはり、ピアノを弾く時の手の形は重要で、指全体をベタ〜っと鍵盤につけて弾くようなことはしません。簡単なチューリップなどの 曲は弾けないことはありませんが、弾ける・弾けないの問題ではなく、綺麗な音が出せるかどうかが重要です。最初はゆっくりの速さの曲しか学習をしませんが、 ピアノ学習が進んでくると、指も速く動かして弾くことになります。その時に、ペタ〜とした指では速い動きには対応ができません。ピアノ学習が進んでから、 手の形について注意をするのではなく、ピアノ学習を始めた最初の段階から正しい手の形で弾くことは大切だと思っています。なぜなら、長年、自分の体に 覚えこませた手の形は、そうそう改善するものではありません。正しくない手の形での演奏状態が続いていると、自然と正しい形で弾けるようになるまでには 相当の努力が必要です。

どうしても5番の指で弾く時に、写真のようにペタ〜っと鍵盤に指を押し付けて弾いてしまう生徒さん。よくよく見ると、 手首が鍵盤から落ちています。手首が鍵盤よりも下に落ちている状態は、あり得ない状態です。ピアノの鍵盤でなくても、勉強机やダイニングテーブルなどの 硬い物の上で、ピアノを弾く手の形を置いてみてもわかりますが、指先だけを触れさせた場合、手首は落ちません。その時の5番の指の形にも注目してみましょう。 5番の指だからと言って、ペタ〜とはなっていませんよね?やはり5番の指先だけがテーブルに触れていると思います。そのままそっくりの5番の指の形で弾く ようにしましょう。

実は、写真を撮らせていただいた生徒さんは、お引越しで他の教室から移って来られた生徒さんです。今までの先生からも、 手の形については言われていたということですが、そんなに口うるさくなかったのかもしれません。でも、私は違います。手の形についてはかなり口うるさい です。小さな生徒さんでも容赦はしません。お〜怖っ!でもそれで、綺麗なピアノの音が出せるのなら安いもの?じゃないですか?小さな時からの積み重ねは かなり大きいです。そのための「玉ひも」です。何だか遊びのように始まる玉ひもからのレッスンですが、意味がなくてやっているのではありません。一つ一つの 作業には意味があります。指先で弾くことに意識をして、自分の手の形を一度確認してみましょう。